どう変わる?令和9年障害福祉サービス改定と国が求める質の確保
神戸三宮のきしだ行政書士事務所です。今回のテーマは「今後の障害福祉サービスの行方」についてお伝えします。
障害福祉サービスは国の制度です。事業者へ支払われるサービス費は税金で賄われています。つまり今後の障害福祉サービスがどうなっていくかを知りたい場合には、国の担当省庁において議論されている内容を理解していくと見えてきます。
今回は社会保障審議会障害者部会(第156回)の資料からまとめていきます。
該当のページ(厚労省)はこちらです。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73370.html
障害福祉サービスは3年に1度の改定があります。次回は令和9年度の実施予定です。
どのような改定になるかもこの資料から見えてきます。
内容は以下の3点です。
- 運営指導・監査の強化
- 障害福祉サービス事業者等の指定のガイドライン
- 共同生活援助の管理者資格要件新設
それでは見ていきましょう。
運営指導・監査の強化について
令和5年度の国の統計を見ると、障害福祉サービス事業所の数の増減率は、「宿泊型自立訓練」「就労移行支援」「同行援護」「重度障害者等包括支援」以外はすべてのサービスにおいて増加となっています。
例えば増加率が最も多い「居宅訪問型児童発達支援」は21.6%増、次いで「保育所等訪問支援」18.4%増、「児童発達支援」13.6%増、「共同生活援助」8.7%増、「短期入所」8.3%増、「就労定着支援」7.8%増、「就労継続支援B型」7.2%増といった増加率となっています。
増えたからといってそれが悪いわけではなく、問題としている点は事業所の増加に伴いチェック機能が働いていないのではないかという点です。
全国的に報道されるような事業所の不正請求や、広範囲にわたる利用者に影響があるような処分事例が発生していることから、サービスの質を確保するためには運営指導・監査を強化すべきとして検討されています。
現状、都道府県等は実施する事業所に対する運営指導の実施率が低い事実があります。
指針においては概ね3年に1回の運営指導の実施を求められていますが、実施率は全国平均16.5%です。この社会保障審議会障害者部会では今後運営指導の実施率を約33%まで引き上げるとしています。今の現状の約2倍程度の実施率です。
今後、事業者におかれましてはますます運営の適正化が求められることになります。
事業所数の推移

運営指導の実施状況

障害福祉サービス事業所等の指定のガイドラインについて
事業所の適正な運営の実施のためまたサービスの質の確保のため、各自治体における指定事務のあり方を検討し自治体の指定事務におけるガイドライン案をまとめる予定となっています。すでに「共同生活援助」「就労継続支援」は公表済みとなっています。事業所においてはこれらの該当するサービスについて要チェックです。内容はどちらもほぼ同様で、新規指定と既存事業所の運営状況の適切な把握のためのガイドラインとなっています。
前述の通り不正請求や指定取消などの行政処分事例が見られることから、サービスの質の確保が極めて重要な課題となっています。こうした状況において、事業の入口となる「事業者指定」を担う指定権者はサービスの質の確保という観点から非常に重要な役割を担うわけです。指定事務において指定権者が遵守することが望ましい指針を国が示すのがこのガイドラインです。各指定権者はこのガイドラインをもとにして今後の指定事務を行うことになります。
よくいわれる「ローカルルール」がなくなり、このガイドラインに統一されるというわけではないと私は思っています。いわゆる癖の強い指定権者の指定事務はほぼそのままに、加えてこのガイドラインによる一定の質の担保も求められるといった形の運用になるのではないでしょうか(わかりませんが・・)
指定の流れ

前述の通り、障害福祉サービス事業所数は年々増加しています。ただしこれは全国的に見た数字であって各地域ごと必要とされているサービスは異なるでしょう。指定申請の流れを上記にお示ししていますが、各地域ごと必要なサービスの提供体制の確保を図るべく「意見申出制度」を活用する場合があります。これは指定申請時の事前相談の段階において条件を付与することで申請審査に移行することができます。
市町村の障害福祉計画等において例外的な取り扱いとすることが望ましいといった場合が考えられます。例えば強度行動障害児者、医療的ケア児を主に受入れ対象とする場合においては総量規制の対象外とするといった例外的取扱いです。
共同生活援助の管理者の資格要件新設
障害者のグループホームについて、近年は障害福祉サービスの実績や経験の少ない事業者の参入が多く見受けられ、障害特性や障害程度を踏まえた適切な支援が提供されないといった支援の質の低下が懸念されています。
共同生活援助の支援の質の確保という観点からグループホームの支援に関するガイドラインの策定や管理者と直接支援する従業者に対する資格要件や研修の導入等を令和9年度から開始するとしています。
「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」は令和8年2月に策定済みですので、すでに運営開始後の事業者に置かれましては必ず要チェックです。
グループホームの管理者はこれまで資格要件はありませんでした。
新たに設けられる管理者の資格要件は次の通りです。
・指定障害福祉サービス事業所等の従業者として3年以上障害者の支援等に従事した経験を有するもの
・共同生活援助管理者研修(仮称)修了者
※実際に障害者に対する支援業務に従事していないものは含まれません
※3年以上の障害者の支援等に従事した経験を持つものが研修受講可能となります
この共同生活援助管理者研修(仮称)の実施主体は都道府県です。また現在管理者となっている方に対しては3年の実務経験は求めませんが研修受講は必須となります。研修受講には経過措置が実施されます。

グループホームの直接処遇職員向け研修も新設される予定です。対象は世話人・生活支援員・夜間支援員です。こちらは運営基準により義務化されます。
内容等は未定ですが、今後順次実施されます。現時点での実施スケジュールは令和10年度に施行され研修実施が開始予定となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
障害福祉サービス事業所の今後の行方
- 運営指導・監査実施件数が増加されますので益々の運営適正化を図るべき
- 各サービスの指定事務においてガイドラインが策定されるため、運営主体となる事業者が障害福祉サービス事業者となるにふさわしいかどうかを適正な手順で吟味されふるいにかけられる
- 共同生活援助の適正な運営とサービスの質の確保を目指し、管理者の要件新設は必ず実施される。直接処遇職員においても研修受講必須となるため、事業者は年間の研修計画の策定において円滑な研修受講を進められる計画が求められる
以上のような内容となります。障害福祉サービスは国の制度であり、税金で賄われている事業ですので国の方針に従い、利用者とそのご家族のためのサービスの提供が求められます。年々少しずつ制度改正が行われ3年ごとの改正は必ず行われるため事業者だけでは制度改正に追い付かないという声もよく聞きます。
きしだ行政書士事務所では、このような事業所のお悩みのご相談を随時受付中です。
ご相談は無料です。(1時間程度)予約制となっておりますのでお問合せフォームからご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。


