【経営者必見】共同生活援助のガイドラインと運営の要点
神戸三宮のきしだ行政書士事務所です。今回は令和8年2月に厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部から出された「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」についてまとめます。001662271.pdf
この資料は、近年共同生活援助いわゆる障害者のグループホームの数の伸び率が上がり続ける中でグループホームにおける支援の質の低下が懸念されていることから出されました。
この資料を基に今一度、共同生活援助における支援の在り方について、整理していきたいと思います。
共同生活援助とは(変遷)
平成元年に知的障害者グループホームとして制度化され、そこから平成18年障害者自立支援法の施行に伴い障害種別ごとのサービスが一元化されます。介護を要しない共同生活援助と介護をようするケアホームに分かれます。重度化、高齢化が進むにつれて平成26年にこの二つのホームが一つになります。そこから一人暮らしのニーズにもこたえるようなサテライト型などもでき現在の「介護サービス包括型」「日中サービス支援型」「外部サービス利用型」になりました。

共同生活援助は、利用者それぞれの暮らしを尊重し日中の活動を通じて社会の役割を担うことができるように、利用者の意向を汲み生活の質を向上させる役割を担っています。
そのためには、利用者の意思決定の配慮が重要です。そのために利用者の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて支援を適切に行う必要があり、将来の生活の目標から日頃の食事内容に至るまで、様々な場面で利用者一人ひとりの意思や希望に沿った生活が実現できるよう、丁寧な意思決定支援を行うことが大切です。
人員配置について
各3つの類型において決められた人員配置基準があり、それらの遵守が求められます。
世話人
主に住居における食事の提供、清掃、洗濯、利用者の健康管理、
金銭管理、服薬管理等、利用者の日常生活上の援助を行います
生活支援員
主に食事や入浴、排せつ等の介助等、利用者の介護を行います
サービス管理責任者
利用者のニーズを基に、サービスの提供に関する
総合的な支援を行う役割を担います。個別支援計画書の作成に係る一連の業務が主な担当です。一定の実務経験を有し、かつ指定された研修を修了している必要があります。
管理者
事業所全体の業務管理・設備管理等の責任者としての役割を担います。特に資格や経験は必要が無かったのですが令和9年度から研修修了が義務化される予定です。
夜間支援従事者
夜間及び深夜の時間帯においても、利用者の状態に応じた介護等の支援を行います。
設備について
立地は利用者に対して家庭的な雰囲気の下でサービスを提供するとともに、地域との交流を図ることや地域社会とのつながりを確保することが重要です。入所施設や病院の敷地内であることは原則認められません。
居室は個室が原則で、各住居には個室の居室以外に居間、食堂等の利用者が相互交流を図ることができる設備を設ける必要があります。
利用者が負担する費用について
サービスの提供に係る自己負担額のほかには、家賃、光熱水費、日用品費、食費のほか身の回り品として日常生活に最低限必要と考えられる物品を事業者が提供する場合の費用です。その他にも教養娯楽費といった利用者の希望によって係る費用についても負担してもらうことができます。
費用の徴収について、必ず明細や請求書、同意書、領収書など「何のための費用なのか」「何にどれだけかかったのか」「なぜこの負担額なのか」を説明し同意を得ていることを閉めず書類などを残しておく必要があります。
これらの費用に関する事項は運営規程にも記載する必要があります。
事業者がやるべき義務化対応
緊急時の備え
緊急時における指針やマニュアルを策定し、研修や訓練を行う
事故発生時の備え
事故発生時の対応マニュアルを策定し、従業者へ周知・訓練を行う。応急措置対応ができるように必要な物品を備えておく
非常災害への備え
消防設備を設けるとともに、設備の点検や非常災害時における対応マニュアルを策定する。訓練を実施し実際の対応時の動きを確認する。地域住民との連携体制づくりも必要。
業務継続計画の策定(減算あり)
感染症や自然災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して利用できるように、非常時の体制で早期の業務再開を測るための計画を策定する。定期的に訓練を実施する。自然災害時は従業者自身も被災していることから無理のない範囲で、どのように最低限のサービスの提供をしていくのかを決めておく。
衛生管理について
利用者及び従業者の感染症の予防や健康維持のために、
従業者に対して常に清潔を心掛けさせ、手洗い、手指消毒の励行、換気等の衛生
管理を徹底するとともに、手指を洗浄するための設備や使い捨ての手袋等の感染 を予防するための備品等を備えるなどの対策を講じる必要がある。指針・マニュアルの策定と定期的に委員会の開催及び訓練の実施が必要
共同生活援助事業所が対応しなければならこと
苦情解決
利用者やその家族が安心して生活を送れるよう、利用者又はその家族からの苦情を受け付けるための窓口を設置する等の措置が必要。担当者や連絡先、対応可能時間等を決めておく。受付した際に必要な書式も備え付けておく必要がある。
苦情を受け付けた後には事業所として(法人として)どのようなフローで対応するかも決めておき公表する。
秘密保持
正当な理由がなく、業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。そのため、従業者にはあらかじめ秘密保持に関する誓約書を求め、退職後も遵守することを誓約してもらう必要がある。
事業所は他の医療機関や障害福祉サービス事業所と連携しなければならず、その際に利用者等の個人情報を利用することになるため、あらかじめ(契約時に)個人情報利用に関する同意書を求め、ご本人とそのご家族に署名いただく必要がある。
事業所に関する情報公表の義務(減算あり)
利用者の個々のニーズに応じたサービスの選択や、事業所のサービスの質の向上に資することを目的として、障害福祉サービス等情報公表制度の仕組みがあり、サービスの内容等を都道府県、指定都市又は中核市へ報告することが義務付けられている。
連携すべき関係機関とは
障害者総合支援法(第42 条)にはこう書かれています。
(省略)障害者等の意思決定の支援に配慮するとともに、市町村、公共職業安定所その他の職業リハビリテーションの措置を実施する機関、教育機関その他の関係機関との緊密な連携を図りつつ(省略)
関係機関とは行政だけでなく、利用者が通う事業所や病院、その他利用者の支援にかかわる機関とすることができます。

共同生活援助における運営や支援に関するガイドラインより001662271.pdf
共同生活援助における具体的な支援の内容
アセスメント
利用の希望と状況に応じた適切な支援を実施するために、心身の状況、生活歴、病歴、他の障害福祉サービス又は保健医療サービスの利用状況等を把握します。それをもとに個別支援計画を作成します。
このアセスメントは1度きりではなく、少なくとも6か月に1回行う必要があります。
見学や入居前の体験利用・・実際に生活の場を見たり、具体的な体験をしたりすることで本人が確認できることが重要です。体験利用を行う場合は、通常の入居と同様に当該利用者に関する個別支援計画を作成し、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、共同生活援助の目標及びその達成時期、共同生活援助を提供する上での留意事項等を定め、当該利用者が継続した共同生活援助の利用に円滑に移行できるように配慮します。
提供拒否の禁止
事業者は正当な理由なく利用者の入居を拒否することはできません。正当な理由としては
内容及び手続に関する説明と同意
入居前にあらかじめ利用申込者に対し、事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況等、利用申込者が自身に適したサービスを選択するため
に必要な重要事項について交付して説明を行い、利用申込者の同意を得ます。成年後見制度を利用している場合には代理人にも説明し同意を得ます。
説明の際には、利用者負担額については、その金額、使途及び支払いを求める理由を記載した書面を利用者に交付し、内容について説明を行うとともに、利用者の同意を得る必要があります。
個別支援計画の作成
サービス管理責任者によって利用者のアセスメントにより把握した利用者の状況及び利用者の暮らしに関する意向等を踏まえ具体的な支援内容等について検討し、個別支援計画を作成します。利用者の希望・ニーズを引き出し、共同生活援助における到達目標を設定し、利用者のできることや強みに着目しながら、どのような支援を行えば利用者が目指す暮らしを実現できるかを考慮しながら計画に反映させることが必要です。
個別支援計画書作成にかかる一連の流れは以下になります。
・サービス管理責任者は相談支援事業所が開催する担当者会議へ出席
・アセスメントを実施し利用者の状況や暮らしに関する希望・支援のニーズ等wp把握します
・個別支援計画の原案を作成します
・利用者とその家族及び利用者へのサービス提供に当たる担当者と担当者会議を開催します。個別支援計画の原案について意見を求めます。
・担当者会議の内容を踏まえ、個別支援計画書を作成し、利用者及びそのご家族へ説明し文書により利用者の同意を得る必要があります。
・個別支援計画の実施状況を把握します(モニタリング)

日常生活の支援
共同生活援助は、利用者が地域における自立した生活を送ることを目指す場です。
利用者のできることを増やし、自立を促進するような支援を実施します。利用者の意思を尊重し、尊厳を守りつつ、利用者個々の障害の程度や特性を踏まえ、利用者が安心して生活するための必要な支援を行う必要があります。日常的な家事については、原則として、利用者と従業者が家事等を共同で行うよう努めなければならないとされています。
その他には日中の活動の支援や余暇活動の支援、社会生活上必要不可欠な手続等の代行支援もあります。
事業者における取組
上記のような支援を提供していく設置者や管理者は、適切な支援を安定的に提供するとともに、支援の質を向上させるためには、自身はもちろんのこと従業者の能力の向上のための研修の実施など常に考えておかなければいけません。
事業所内だけではなく、外部研修への参加を促し必要なスキルの習得と技術の向上のための機会の確保は欠かせません。
また、利用者のための権利擁護に対する取り組みについても必要となります。義務であり減算対象にもなっている「虐待防止」「身体拘束適正化」のための委員会や研修の実施も定期的に必要となります。(減算あり)
自己評価を実施するとともに、外部の目をいれて第三者の目線で評価を行うため「地域連携推進会議」も年に1回の実施が必要となります。
共同生活援助で実施しなければならない委員会や研修等の一覧

共同生活援助における運営や支援に関するガイドラインより001662271.pdf
【まとめ】
これらの情報は「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」に載っていますので事業者においては必ず一読すべき事項です。
近年、安易に開設されるグループホームもあると聞きますが、簡単に運営ができる事業ではありません。国が示すガイドラインの内容は最低限理解し、必要な事項については確実に実行しておかないと、定期的に実施される「運営指導」において、減算や返戻または改善報告を実施することになります。
利用者の為にも適切な運営を目指しましょう。
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最後までお読みいただきありがとうございました。


