【就労継続支援A型スコア方式による評価】スコア告示をまとめてみました
神戸市で障害福祉サービス事業所のサポートを行っております「きしだ行政書士事務所」の情報室です。
今回は就労継続支援A型事業所のスコア告示についてまとめてみました。
令和6年度の報酬改定において、令和3年殿報酬改定で導入された
就労継続支援A型の報酬算定基準であるスコア方式の中身が変更されました。
評価項目は以下の6項目からなり、合計で200点のスコアでとなりました。
- 労働時間
- 生産活動
- 多様な働き方
- 支援力向上
- 地域連携活動
- 利用者の知識・能力の向上
※「生産活動」のスコアを算出するにあたり、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、
前年度・前々年度・前々々年度を「令和元年度」「平成30年度」「平成29年度」に置き換える場合は、
根拠となる資料を都道府県に提出しなければいけません。
厚生労働省令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要はこちら
【労働時間】
就労継続支援A型において利用者の1日の平均労働時間が長いほど、利用者の賃金増加につながるため。
1日の労働時間は、前年度において就労継続支援A型事業所と
雇用契約を締結していた利用者の総労働時間数を利用者の合計数で除す。
- 1日の平均労働時間が7時間以上・・・90点
- 〃 が6時間以上7時間未満・・・80点
- 〃 が5時間以上6時間未満・・・65点
- 〃 が4時間30分以上5時間未満・・・55点
- 〃 が4時間以上4時間30分未満・・・40点
- 〃 が3時間以上4時間未満・・・30点
- 〃 が2時間以上3時間未満・・・20点
- 〃 が2時間未満・・・5点
※利用開始時には予見できない事由等により短時間労働(1日の労働時間が4時間未満)となった場合、
短時間労働となった日から90日を限度として延べ労働時間数及び延べ利用者数から除外できる。
(ただし、短時間労働となった事由について都道府県に届け出る必要がある)
【生産活動】
就労継続支援A型事業所において、生産活動収支が利用者に支払う賃金の総額以上であることは最低限の基準であり、
利用者の賃金確保等にも大きく影響するため。
当該年度の「前年度」「前々年度」「前々々年度」における生産活動収支で算出する。
※生産活動収支とは、生産活動に係る事業の収入-生産活動に係る必要な経費
①過去3年の収支がそれぞれ各年度に利用者に支払う賃金の総額以上・・・60点
②過去3年の収支の内、前年度及び前々年度における生産活動収支がそれぞれ各年度における利用者に支払う賃金総額以上・・・50点
③過去3年の収支の内、前年度における生産活動収支のみが利用者に支払う賃金総額以上・・・40点
④過去3年の収支の内、前々年度における生産活動収支のみが利用者に支払う賃金総額以上・・・20点
⑤過去3年の収支の内、前年度及び前々年度における生産活動収支がいずれも各年度の利用者に支払う賃金総額未満・・・-10点
⑥過去3年の収支がいずれも各年度に利用者に支払う賃金総額未満・・・-20点
※ここでいう「年度」とは、就労継続支援A型事業所における暦1年間の会計年度を言う。
《例:毎年9月末日が会計年度終了日の場合、
令和6年度のスコア算定は令和5年9月末日が終了日となる会計年度における生産活動収支により算定》
【多様な働き方】
利用者の多様な働き方のニーズに対応できることが就労継続支援A型における就労機会の提供に必要である。
各項目についてそれぞれ1点で評価し、次の区分について評価する
- 8項目の合計点が5点以上・・・15点
- 8項目の合計点が3点または4点・・・5点
- 8項目の合計点が2点以下・・・0点
(1)《利用者が就労に必要な知識及び能力の向上に資する免許、検定その他の資格取得を支援するための制度》
就労に必要な知識及び能力の向上のための資格・検定等の取得のための支援を企画・実施する仕組み、
教育訓練機関が実施する訓練に参加できる仕組み、
そのための費用等を助成する仕組み等を就業規則に定める
(2)《利用者を当該就業継続支援A型の職員として雇用する場合における採用手続及び採用条件に関する事項》
職員登用の基準・登用試験等の登用方法、登用後の雇用条件等について就業規則に定める
(3)《在宅勤務を行う利用者の労働条件および服務規律に関する事項》
在宅勤務の対象者・在宅勤務時の服務規律・労働時間・出退勤管理等の在宅勤務制度について就業規則に定める
(4)《利用者に係る始業及び終業の時刻をその利用者の決定に委ねる事項》
いわゆるフレックス制度のこと。
始業及び終業の時刻の両方を利用者の決定に委ねる旨の就業規則等を定める
※フレックス勤務制度の採用について、労働基準法の規定に基づき
対象労働者の範囲・精算期間・精算期間における総労働時間等を定めること
(5)《障害の特性に応じ1日の所定労働時間が短い利用者の労働条件に関する事項》
いわゆる時短勤務制度のこと。
就業継続支援A型事業所が通常定める所定の労働時間によらず、
1日の所定労働時間が短い労働条件で勤務することができるように
対象者の範囲・労働時間・休憩時間及び休日・賃金等を就業規則に定める
(6)《障害の特性に応じ1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度に関する事項》
いわゆる時差出勤制度のこと。
利用者が1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業時刻を繰り上げ又は繰り下げすることができるように、
始業時刻・終業時刻・休憩時間等を就業規則に定める
(7)《時間を単位として与える有給休暇又は労使協定により有給休暇を与える時季に関する定めをした場合の有給休暇の取得に関する事項》
時間単位年休の対象労働者の範囲・日数・1日の時間数等を就業規則に定める
又は、労働基準法に基づく年次有給休暇の計画的付与制度の方法を就業規則に定める
(8)《業務外事由により負傷又は疾病の療養のための休業に関する事項》
いわゆる傷病休暇制度のこと。
業務外事由により長期にわたる治療等が必要な負傷又は疾病等のために休業を取得できるよう、
休暇制度・療養中、療養後の時短勤務制度・失効年休積立制度等を就業規則に定める
【支援力向上のための取組】
職員が常に仕事に対して意欲的に臨めるようなキャリアアップ制度を整備し、
第三者評価を踏まえて、支援環境を整備することが、
就業継続支援A型の利用者の支援の質の向上につながる。
以下の8項目についてそれぞれ1点で評価し、その合計点に応じてスコアを算出する。
- 8項目の合計点が5点以上・・・15点
- 8項目の合計点が3点又は4点・・・5点
- 8項目の合計点が2点以下・・・0点
(1)《職員の知識及び能力の向上のための研修計画に基づいた研修会への参加状況》
- 就業継続支援A型事業所の職員に対し前年度における研修計画を定め、その計画に基づき職員(サービス管理責任者・職業指導員及び生活指導員)1人以上が参加している場合に1点とする。
- 外部研修会・・・障害者就労の関連知識や生産活動に関する内容であること
- 内部研修会・・・外部研修会と同等の内容であること。外部専門家等を招いて実施するもので、おおむね半日以上の時間数が設定されているもの
(2)《職員が研修・学会等又は学会誌において発表した実績》
前年度において職員が外部で開催される研修・学会等において1回以上発表している場合に1点とする。
- 国や地方公共団体・就労支援機関等が実施する研修・セミナーに登壇し当該事業所の取組等について発信していること
- 学会とは障害者雇用・障害者福祉又は就労支援に関するテーマを扱ったもので一定規模の参加者のもの
(3)《先進的事業者の視察もしくは先進的事業者における実習への参加又は視察もしくは実習の受け入れの有無》
職員が先進的事業者の視察・実習への参加又はその他の事業者から視察・実習の受け入れ状況に応じて
いずれかの取組を行っていれば1点とする。
※「先進的事業者」とは就労継続支援A型事業所等であって
所在する都道府県における平均月額賃金を相当程度上回る高賃金を達成している事業所。
スコア合計点170点以上の事業所。
法定雇用率を相当程度上回る事業所。
もにす認定を受けている事業所
- 先進的事業所への視察・実習に参加
- 他の事業者から視察・実習を受入れ
(4)《生産活動収入を増やすための販路の拡大のための商談会等への参加実績》
前年度における生産活動収入を増やすための販路拡大のため商談会・展示会等に1回以上参加している場合1点とする。
- ビジネスマッチングを目的とした展示会への出店
- 地域企業等へ情報交換や事象内容の説明(農福連携等)
(5)《人事評価に基づき定期昇給の仕組みを設けけるとともに人事評価の基準を書面で作成及び全職員へ周知している場合》
人事評価制度を有しており、客観的な評価基準や昇給条件が明文化され、
全職員へ周知されかつ運用されている場合に1点とする。
(6)《障害者ピアサポート研修修了者を配置している場合》
ピアサポート研修修了者を配置している場合に1点とする。
当該研修終了証明書の交付を受けていること。
(7)《就業継続支援A型事業者が第三者評価を受け結果を公表している場合》
当該年度末日から起算して3年以内に受けた第三者評価を対象とする。
(8)《就業継続支援A型事業所の取組が国際標準化機構の認証を受けている場合》
「ISO」「JIS」「JAS」など
【地域活動連携】
就労継続支援A型事業所が地域の企業等と連携した生産活動をすることにより、
利用者と地域との接点や関係を作ることは、
利用者が地域に暮らし自立した社会生活を実現するために必要である。
地域連携活動の実施状況について関係事業者の意見を記載した報告書を作成し、
インターネットにより公表している場合に1点とする
【経営改善計画】
就労継続支援A型事業所は「生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業の経費を控除した額が、
利用者に支払う賃金総額以上になうようにしなければならない」とされています。
この基準を満たしていない場合経営改善計画を提出しなければなりません。
この計画を期限までに提出していない場合-50点のスコアを算定する。
【利用者の知識・能力の向上】
利用者が地域における自立した生活を実現するため、一般就労に向けた知識・能力の向上に向けた支援が重要となる。
当該支援の具体的な内容並びに利用者・連携先企業等の意見を記載した報告書を
インターネットに公表している場合に、10点のスコアを算定する。
【就労継続支援A型サービス費Ⅰ】
7.5:1の場合
①利用定員が20人以下
- 評価点が170点以上・・・791単位
- 〃 150点以上170点未満・・・733単位
- 〃 130点以上150点未満・・・701単位
- 〃 105点以上130点未満・・・666単位
- 〃 80点以上105点未満・・・533単位
- 〃 60点以上80点未満・・・419単位
- 〃 60点未満・・・325単位
②利用定員が21人以上40人以下
- 評価点が170点以上・・・710単位
- 〃 150点以上170点未満・・・656単位
- 〃 130点以上150点未満・・・626単位
- 〃 105点以上130点未満・・・594単位
- 〃 80点以上105点未満・・・474単位
- 〃 60点以上80点未満・・・373単位
- 〃 60点未満・・・288単位
※利用定員41人以上その他の場合は割愛いたします。
【就労継続支援A型サービス費Ⅱ】
10:1の場合
①利用定員が20人以下
- 評価点が170点以上・・・727単位
- 〃 150点以上170点未満・・・671単位
- 〃 130点以上150点未満・・・641単位
- 〃 105点以上130点未満・・・608単位
- 〃 80点以上105点未満・・・486単位
- 〃 60点以上80点未満・・・382単位
- 〃 60点未満・・・296単位
②利用定員が21人以上40人以下
- 評価点が170点以上・・・655単位
- 〃 150点以上170点未満・・・604単位
- 〃 130点以上150点未満・・・574単位
- 〃 105点以上130点未満・・・543単位
- 〃 80点以上105点未満・・・432単位
- 〃 60点以上80点未満・・・341単位
- 〃 60点未満・・・264単位
※利用定員41人以上その他の場合は割愛いたします。
【まとめ】
就労継続支援は令和6年度の報酬改定において、
スコア評価の内容が改訂され生産活動が少ないと事業所が立ち行かなくなりました。
いかに利益の出る仕事を確保できるかどうかで、事業の成長性は大きく変わってきます。
地域と連携して収益の出る生産活動をどうしていくか、
利用者の地域における自立した生活の実現に向けて真摯に取り組む事業所様を応援したいと思います。
きしだ行政書士事務所においても就業継続支援事業所の新規申請等のご相談を受け付けております。
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