【共同生活援助におけるサービス費】正しく算定できていますか?
神戸三宮で障害福祉を専門にしています
きしだ行政書士事務所の情報室です。
今回は共同生活援助(グループホーム)におけるサービス費及び
各種の加算・減算について解説します。
令和6年度の報酬改定に伴い、「世話人」の配置基準は6:1のみとなりました。
そして手厚い人員配置の事業所については人員配置体制加算において
加算を算定することになりました。
厚生労働省:障害福祉サービス費等の報酬算定構造より
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001205331.pdf
【共同生活援助サービス費】(介護サービス包括型)
サービス費Ⅰ(基本のサービス費)
- 区分6・・・600単位
- 区分5・・・456単位
- 区分4・・・372単位
- 区分3・・・297単位
- 区分2・・・188単位
- 区分1以下・・・171単位
サービス費Ⅱ(一時的な体験利用)
- 区分6・・・717単位
- 区分5・・・569単位
- 区分4・・・481単位
- 区分3・・・410単位
- 区分2・・・290単位
- 区分1以下・・・273単位
サービス費Ⅰ(特例)
- 区分6・・・369単位
- 区分5・・・306単位
- 区分4・・・270単位
【大規模住居等減算】
- 入居定員が8人以上21人未満・・・95%で算定
- 入居定員が21人以上・・・93%で算定
【人員欠如減算】
《生活支援員・世話人》
- 減算が適用される月から3月未満の月・・・70%で算定
- 減算が適用される月から連続して3月以上の月・・・50%で算定
《サービス管理責任者》
- 減算が適用される月から5月未満の月・・・70%で算定
- 減算が適用される月から連続して5月以上の月・・・50%で算定
《夜間及び深夜時間帯勤務の世話人または生活支援員》(日中サービス支援型)
基準の員数に満たない事態が2日以上
基準の員数に満たない事態が4日以上
その翌月から解消された月まで
《常勤および専従などの員数以外の要件》
翌々月から解消された月まで
【情報公表未報告減算】
各種減算後かつ加算前の単位数の90%で算定
未報告の事実が生じた月の翌月から解消された月まで
【業務継続計画未策定減算】
各種減算後かつ加算前の単位数の97%で算定
業務継続計画未策定およびその計画に従い必要な措置を講じていない事実が
発生した日の翌月から解消に至った月まで
【身体拘束廃止未実施減算】
各種減算後かつ加算前の単位数の90%で算定
- 身体拘束等の記録が行われていない場合・・・切迫性・非代替性・一時性を満たしかつ組織としてそれらの要件を確認した記録
- 身体拘束適正化検討委員会を定期的に開催していない場合・・・1回/年以上
- 身体拘束適正化のための指針を整備していない場合
- 身体拘束適正化のための研修を定期的に実施していない場合・・・1回/年以上
※虐待防止委員会と一体的に設置・運営することも可能
【虐待防止措置未実施減算】
各種減算後かつ加算前の単位数の99%で算定
- 虐待防止委員会を定期的に開催していない場合・・1回/年以上
- 虐待防止のための研修を定期的に実施していない場合・・1回/年以上
- 虐待防止措置の担当者を配置していない場合
※虐待防止委員会は身体拘束適正化検討委員会と一体的に設置・運営することも可能
【人員配置体制加算】(介護サービス包括型)届け出必要
令和6年度の報酬改定に伴い、サービス費の算定が「世話人」の配置6:1のみ
となったためこの「人員配置体制加算」を取っておきたいところです。
この加算は、指定基準である「世話人」および「生活支援員」の数に加え
特定従業者数換算方法で「世話人」および「生活支援員」を12:1または30:1で
配置した場合に加算されます。
人員配置体制加算Ⅰ(12:1)
- 区分4以上・・・83単位
- 区分3以下・・・77単位
人員配置体制加算Ⅱ(30:1)
- 区分4以上・・・33単位
- 区分3以下・・・31単位
※計算の過程における小数点第2位以下は切り捨て
「特定従業者換算方法」とは、従業者の勤務延べ時間数を40時間で除して
従業者の員数に換算する方法です。
例:利用者15人(区分6:5人、区分5:4人、区分4:6人)
常勤の勤務時間:40時間/週
人員配置基準により配置すべき世話人等
世話人:40時間×(15÷6)人=100時間
生活支援員:区分6・・40時間×(5÷2.5)人=80時間
区分5・・40時間×(4÷4)人=40時間
区分4・・40時間÷(6÷6)人=40時間
加配すべき世話人等:40時間×(15÷12)人=48時間
80+40+40+48=308で延べ合計308時間確保する必要がある。
【夜間支援等体制加算】
夜間の支援体制については、どの事業所でも確保していると思います
どの加算に該当するのかを間違いなく加算を算定するようにしましょう
夜間支援等体制加算Ⅰ
- 夜勤を行う夜間支援従事者を配置し、
夜間及び深夜の時間帯(午後10時から翌朝5時までは必ず含む)を通して
必要な介護等の支援を提供できる体制を確保している場合
- 一カ所の対象利用者は30人まで
- 常勤、非常勤は問わない
- 委託されたものであっても可
- 夜勤を行う専従の夜間支援従事者を配置
- 共同生活援助計画に位置付け
- 前年度の平均利用者で算定(小数点第1位を四捨五入)
例:前年度の全利用者数の延べ人数1570人、前年度の開所日数365日
1570人÷365日=4.3 四捨五入するため4人で算定
《夜間支援対象利用者2人以下》
- 区分4以上・・・672単位
- 区分3・・・560単位
- 区分2以下・・・448単位
《夜間支援対象利用者3人》
- 区分4以上・・・448単位
- 区分3・・・373単位
- 区分2以下・・・299単位
※夜間支援対象者4人以上は省略いたします
夜間支援等体制加算Ⅱ
- 宿直を行う夜間支援従事者を配置し
夜間及び深夜の時間帯(午後10時から翌朝5時までは必ず含む)を通じて
定期的な巡回(1回以上)や緊急時の支援等を提供できる体制を確保している場合
- 常勤、非常勤は問わない
- 委託されたものであっても可
- 宿直を行う専従の夜間支援従事者を配置
- 前年度平均利用者で算定(Ⅰと同じ)
《夜間支援対象利用者4人以下》
112単位
《夜間支援対象利用者5人》
90単位
※夜間支援対象利用者6人以上は省略いたします
夜間支援等体制加算Ⅲ・・・10単位
- 夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な防災体制または利用者の病状の急変
その他の緊急事態に備え、対応できるよう常時の連絡体制を確保している場合
- 警備会社と委託契約を締結している場合
- 事業所の従業者が常駐している場合
- 携帯電話等での連絡体制が確保できている場合
- 緊急時の連絡先や連絡方法は運営規程に定め、事業者内に掲示する
夜間支援等体制加算Ⅳ
- 夜間支援等体制加算Ⅰを算定している利用者に対し、夜間支援従事者を加配
- 夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制
を確保している場合
- 夜間支援等体制加算Ⅰにより配置される夜間支援従事者は1人のみ常駐する住居
- 夜間支援従事者同士が緊密な連携体制が確保されている場合
- 1人の夜間支援従事者が支援を行うことができる利用者は30人まで
- 常勤、非常勤は問わない
- 委託されたものでも可
- 夜勤を行う専従の夜間支援従事者を配置
- 1晩に1回以上巡回
- 前年度平均利用者で算定(Ⅰと同じ)
夜間支援対象利用者15人以下・・・60単位
〃 16人・・・56単位
※夜間支援対象利用者17人以上は省略いたします
夜間支援等体制加算Ⅴ
- 夜間支援等体制加算Ⅰを算定している利用者に対し、
夜間支援従事者を加配夜間及び深夜の一部の時間帯(最低2時間以上)
において必要な支援を提供できる体制を確保している場合
※残りの要件はⅣに同じ
夜間支援対象利用者15人以下・・・30単位
〃 16人・・・28単位
※夜間支援対象利用者17人以上は省略いたします
夜間支援等体制加算Ⅵ
- 夜間支援等体制加算Ⅰを算定している利用者に対し、夜間支援従事者を加配
- 夜間及び深夜の時間帯を通じて定期的な居室の巡回、緊急時の支援等を提供できる体制を確保している場合
要件はⅣと同じ
夜間支援対象利用者15人以下・・・30単位
〃 16人・・・28単位
※夜間支援対象利用者17人以上は省略いたします
【共同生活援助における他の加算】
《福祉専門職員配置等加算》届け出必要
福祉専門職員(社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理士)の
従業者に占める割合に応じ加算を算定できます。
《視覚・聴覚言語障害者支援体制加算》届け出必要
視覚・聴覚障害のある利用者の数と支援する従業者の数に応じて加算を算定できます
《看護職員配置加算》届け出必要
看護職員の員数により加算を算定できます
《高次脳機能障害者支援体制加算》届け出必要
高次脳機能障害のある利用者の数に応じて加算を算定できます
《ピアサポート加算》《退去後ピアサポート実施加算》届け出必要
障害者又は障害者であったと認められる人が従業者で
ピアサポート研修修了者である場合に必要な支援を行うと加算を算定できます
《夜勤職員加配加算》(日中サービス支援型)届け出必要
介護サービス包括型の夜間支援等体制加算の要件とほぼ同じ
《重度障害者支援加算》届け出必要
重度障害者に対する支援を行った場合に加算を算定できます。
《医療的ケア対応支援加算》届け出必要
看護職員を常勤換算方法で1以上配置し対象となる利用者へ支援を行った場合に
加算を算定できます
《日中支援加算》
高齢又は重度の障害者に対し、共同生活援助計画に位置付けて支援を行うことで
加算を算定できます
《自立生活支援加算》
居宅における単身等での生活を希望する利用者に対し支援を行った場合に
加算を算定できます
《入院時支援特別加算》
3日以上入院した場合、必要な支援を行った場合に加算を算定できます
《長期入院時支援特別加算》
長期入院時に、必要は支援を行った場合に加算を算定できます
《帰宅時支援加算》
3日以上帰宅した際に、必要な支援を行った場合に加算を算定できます
《長期帰宅時支援加算》
長期帰宅時に、必要な支援を行った場合に加算を算定できます
《地域生活移行個別支援特別加算》届け出必要
特別な支援に対応した共同生活援助計画に基づき支援等を行った場合に
加算を算定できます
《精神障害者地域移行特別加算》届け出必要
社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理士を配置し対象となる利用者に
支援を行った場合に加算を算定できます
《強度行動障害者地域移行特別加算》《強度行動障害者体験利用加算》届け出必要
対象となる利用者に対し必要な支援を行った場合に加算を算定できます
《医療連携体制加算》
看護職員を訪問させ、対象となる利用者に必要な看護を行った場合
その時間に応じてなど要件を満たした場合に加算を算定できます
《通勤者生活支援加算》届け出必要
一般就労している利用者に対し必要な支援を行った場合に加算を算定できます
《障害者支援施設等感染対策向上加算》届け出必要
協力医療機関等と新興感染症等の対応を行う体制を確保するために
必要な対策を講じて要件を満たした場合に加算を算定できます
《新興感染症等施設療養加算》
利用者が別に厚生労働大臣が定める感染症に感染した場合
必要な支援を行った場合に加算を算定できます
【まとめ】
当てはまるか当てはまらないかぎりぎりのところを狙うよりも
確実に取れる加算を算定し要件を確実に満たしていくことで
今後運営していく中で訪れる運営指導の時にも慌てることがなくなります。
新しく共同生活援助を運営する計画をお持ちの方で
「送迎加算」を取りたいというお客様がいらっしゃいますが
共同生活援助に「送迎加算」はありません。
しかし車を使うことも多いと思いますので
経費に車関連費を計上して新規指定に向けた資金計画を立ててください。
きしだ行政書士事務所では障害福祉サービス事業所の運営に関するご相談を
受け付けております。
ご相談は無料です。ご相談はこちらからお願いいたします。
最後までお読みくださりありがとうございました。