【神戸市における市街化調整区域内の農地転用手続きの流れとは】
神戸市中央区にあります、きしだ行政書士事務所の情報室です。
今回は神戸市における市街化調整区域の農地転用手続きについてまとめてみました。
市街化調整区域とは、都市計画法に基づく区域区分の1つで、
市街化を抑制するために定められる区域です。
【 市街化調整区域における農地転用の概要】
市街化調整区域とは
- すぐに市街化することがふさわしくない区域
- 農業を促進する区域
- 緑地として豊かな自然環境を残す区域
など、市街化を抑制する区域です。
このうち農地として使用されている土地を、農家住宅・資材置き場・駐車場などに
活用する場合に農地以外の用地に転換することが必要です。
これを農地転用と言います。
農地が市街化区域にある場合は「届出」で済み、
市街化調整区域にある場合は「許可」が必要です。
この農地転用の許可権者は神戸市農業委員会です。
必ず事前の相談が必要です。
事前相談に必要な書類
- 農地の現況の写真
- 登記簿謄本などの資料
《申請締切日》
原則毎月10日です。
【農地と市街化区域の関係】
対象農地が「農業振興地域の整備に関する法律」に基づく農用地区域に指定されていれば、
予め農用地区域からの除外などの手続が必要です。
この農用地区域除外の手続が必要かどうかを確認するには窓口に
必要な書類をそろえて問合せする必要があります。
《事前相談に必要な書類》
- 位置図(1/2500~1/3000)
- 公図
- 登記簿謄本(写し可)
《申請期間》
年2回
(上期:5/1~6/30、下期:10/1~11/30)
申請から約6か月かかります。
【 農地転用にかかる条件と基準】
市街地に近い農地や生産力の低い農地から順に転用されるように
農地転用には判断基準が設けられています。
《農用地区域内の農地》
市が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地
原則不許可
《甲種農地》
市街化調整区域内の
- 公営ほ場整備後8年以内の農地
- 集団農地(概ね10ha以上)で大型農機での営農可能な農地
原則不許可(例外あり)
例外
- 農業用施設・加工用施設・販売施設
- 土地収用認定施設
- 集落接続等の住宅(500㎡未満または超えない)
- 都市と農村の交流に資する施設
- 地域の農業振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設
《第1種農地》
- 集団農地(概ね10ha以上)
- 公営ほ場整備農地
- 生産性の高い農地
原則不許可(例外あり)
例外=甲種農地と同様
《第2種農地》
- ほ場整備未実施の小集団で生産性の低い農地
- 市街地として発展する可能性のある農地
第3種農地に立地困難な場合に許可
《第3種農地》
- 都市的整備がされた区域の農地
- 市街地にある農地
原則許可
【農地転用のための具体的な申請手続き】
農地転用に関する必要書類をまとめました。
《農地法第3条許可》
農地のままでの権利移動(売買や賃貸借等)
- 土地の登記簿謄本
- 位置図
- 公図
- 営農計画書
- 誓約書
- 耕作状況確認願
- 小作人同意書(申請地が小作地である場合)
譲受人が市外で農地を耕作している場合
- 耕作証明
- 農地基本台帳の写し
譲受人が解除条件付申請の場合
- 定款写し
- 会社の商業登記簿謄本
- 要件具備を証する書面
- 契約書
- 役員に関する書面
譲受人が農地所有適格法人の場合
- 定款写し
- 会社の商業登記簿謄本
- 組合員名簿又は株主名簿
- 過去(3カ年)の決算書(農業経営実績がある場合)
- 今後(3カ年)の販売計画
- 農地所有適格法人の要件具備を証する書面
譲受人が新規就農者の場合
- 営農計画書
- 研修終了書の写し又は新規就農に係る確認書
譲受人が小規模農業者の場合(経営耕地面積が10ha未満)
- 営農計画書
《農地法第4条及び第5条許可》
農地法第4条許可とは、農地の所有者が自らその農地を農地以外に転用する場合
の許可申請です。
農地法第5条許可とは、農地を転用するとともに売買・貸借など権利移動をする場合
の許可申請です。
- 土地の登記簿謄本
- 法人登記簿謄本・定款・寄付行為の写し(法人の事業内容及び申請目的が分かる書類)
- 位置図及び付近見取図
- 字限図
- 事業計画書
- 隣接農地同意書
- 水利関係及び集落同意書
- 防除施設の設置状況書類
- 土地改良区転用意見書又は区域外証明
- 農用地利用計画変更決定書又は区域外証明
- 開発許可申請書の写し
- 共生ゾーン条例行為届出書の写し
- 他法令許可書又は申請書受付写し(盛土規制法等)
- 官民境界決定書の写し
- 合意解約通知書の写し
- 委任状・確認書(代理人へ委任する場合)
- 始末書・現況写真・評価証明(すでに転用している場合)
- 単独申請ができることを証する書面
一時転用する場合
- 誓約書
- 測量図(一筆の土地の一部を転用する場合)
- 事業受注者であることを証する書面(工事請負契約書の写し等)
- 貸借契約書
【 開発行為としての農地転用】
市街化調整区域内において開発行為を行う場合、都市計画法に基づく開発許可が必要となります。
市街化調整区域でなければ建築できない建物や、周辺住民の日常利便施設など
都市計画法34条の基準に適合する建物は例外的に建築可能となっています。
例えば学校、社会福祉施設、医療施設、沿道型コンビニエンスストア、給油所などです。
このような建築物を建築又は用途変更する際、区画形質変更を伴う建築の場合は
都市計画法第29条許可、区画形質変更を伴わない場合は都市計画法第42条、43条許可となります。
前述の農地転用許可申請と合わせて上記の開発許可が必要となる場合があります。
【神戸市における新規就農】
神戸市において新たに就農を希望する場合、
行政等の就農研修を原則1年間以上(1,200時間以上)受講する必要があります。
詳しくは神戸市のHPをご覧ください。神戸市:新規就農 (kobe.lg.jp)
また兵庫県において就農に関する支援施策が実施されています。
兵庫就農支援センター支援施策 ひょうご就農支援センター | Hyogo Farming Support Center (hyogo-shunou.jp)
【まとめ】
今回は神戸市で市街化調整区域における農地転用手続きについてまとめました。
神戸市のホームページにおいて検索できる内容ではありますが
とにかく資料が多く、規制も関係する法律も多くあり
一度に理解するのが難しい分野であります。
行政書士として「農地転用の手続」や後半において触れました
「開発許可申請の手続」について代理で申請書類の作成や申請手続きの代行ができます。
きしだ行政書士事務所において「農地転用手続き」「開発許可申請の手続」のご相談を受け付けております。
ご相談は無料です。お気軽にお問合せください。
最後までお読みいただきありがとうございました。