【家系図を作って争わない相続を目指そう】相続は事前の準備が大切!

神戸市三宮のきしだ行政書士事務所の情報室です。

当事務所では生前対策から死後事務までをサポートしています。

年間でどのくらいの件数、相続関連で家庭裁判所へ案件が持ち込まれているかご存じでしょうか?

令和5年の司法統計によると、家庭裁判所へ持ち込まれた遺産分割争いの件数は、

13,872件です。(令和5年司法統計)過去20年間で1.5倍の件数となっています。

また遺産分割争いの総額は、5,000万円までが約75%となっており

遺産分割争いは高額な遺産額の家庭内での話というわけではないことを証明しています。

よく、「相続争いなんてお金持ちの話でしょ?」と言われますが

それは間違いなのです。

ではその相続争いを避けるためにはどのようなことをすればよいのでしょうか?

私が考える相続対策は

  • 正しい知識で事前準備をする
  • 想いを残す、伝える

です。正しい知識で事前準備をして、想いが伝わるように残すことで相続争いは避けられます。

【家督相続、法定相続】

家督相続という言葉を聞いたことはありますか?

2024年前期のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」が放送されていた時

法律関連の職業に就く人たちの間で話題になっていましたが

明治31年7月16日から施行された旧民法のもとでは「家」制度を導入しており

相続においては長男の単独相続となっていました。

これが「家督相続」です。この時期の戸籍謄本を見てみると

戸主の表記があり、兄弟もその配偶者や子供たちもみんな戸主の戸籍に入っています。

1つの戸籍に多くの家族が入っているのです。

この時代には遺産分割という概念は存在しませんでした。

余談ですが、この旧民法では女性は結婚したら無能力者として扱われました。

この部分がドラマ「虎に翼」でも描かれていましたね。

この民法が法の下の平等思想を取り入れ改正され、現行の民法が昭和23年1月に施行されました。

この法改正により旧民法下で行われていた独占的な家督相続制度は廃止され

子や配偶者であれば平等に相続できる法定相続制度が定められました。

【相続の基礎知識】

現行の民法には法定相続分を定めている条文があります。

Information

民法900条

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

  • 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
  • 配偶者及び直系尊属が相続人であるときには、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は三分の一とする。
  • 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
  • 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
相続人の組み合わせ法定相続分
配偶者と子配偶者1/2子1/2
配偶者と直系尊属配偶者2/3直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹配偶者3/4兄弟姉妹1/4

この法定相続分は、あくまでも目安となるものです。

相続税を計算するときなどに使用します。

もちろんこの割合で遺産分割することもできますし、

この割合以外の割合で遺産分割することもできます。

必ずしも従わなければならない数字ではありません。

もう1つ、遺産分割の基準ともいうべき民法の条文があります。

Information

民法906条

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

この条文に着目して相続相談に応じている士業の方々はとても少ないと思います。

この条文は、その前にある民法900条の条文を補うような条文です。

遺産の分割の方法について、杓子定規で分けるのではなく、

各相続人の生活の状況や被相続人(亡くなられた方)との関係性

(例:認知症の被相続人の介護長年勤めてきた、同居して家事や生活全般のお世話を長年になってきた等)

などを考慮して遺産分割しましょうと促している条文と言えます。

【戦前生まれの人と戦後生まれの人との感覚の違い】

戦前生まれの人は、当たり前のように家督相続が基本となっている感覚があります。

遺産を分割するという概念が存在しないのです。

加えて日本人は察する文化というものがあり、ご自身の考えを主張することを苦手としています。

戦後生まれの人は、当たり前のように法定相続分の知識がありその割合が当然の権利だととらえている人が多くいます。

この戦前生まれと戦後生まれの人の感覚の差こそが、今の相続争いの火種になると考えられます。

戦前生まれの人は、長男に家のことを任せる代わりに多くを残したいと考えます。

しかし、他の兄弟は当然に法定相続分をもらうことができると考えます。

この感覚の違いから争いが生まれてしまうのです。

この感覚の違いを埋めるために、私が重要だと考えているのが想いを残すことです。

現代の日本では、家族が同じ家で過ごすサザエさんのような家族はあまり存在しません。

若い世代の人は都会へ出ていき、親世代はおひとり様予備軍になっていることが多くあります。

会話をする時間も少なくなり、またお金の話はタブー視されるため

子供から聞きづらい話題でもあります。

親が自らご自身の想いを残すことが必要だと思います。

そこで想いを残すために、遺言書を作成することをお勧めします。

遺言書を作成することで

離れて暮らす子供たちにとって相続手続きがスムーズで簡単に済むメリットもあります。

公正証書遺言の付言事項を活用することで、確実に想いを伝えることができます。

公正証書で遺言書を作成する場合、改ざんや破棄される恐れがありません。

【家系図作成のススメ】

想いを残す手段として遺言書をお勧めしましたが

とはいえいきなり遺言書を書くというにはハードルが高いのではないでしょうか?

そこでお勧めしたいのが家系図を作成するということです。

家族関係図を作成するということです。

この図を作成することにより、いざ相続が起こったときに何が問題になりそうか

ということをあぶりだすことができます。

もし作成して、何もなければそれでよし。

問題がありそうであれば対処方法を考える。

私はこの家系図を作成することは健康診断を受けることと同じではないかと思います。

健康診断を受けることは、何かあってからでは遅いからという理由ではないでしょうか?

相続も何かあってからでは遅いのです。これがおすすめする理由です。

この家系図を作成するときには正式に戸籍謄本等を取ったうえで作成しましょう。

【まとめ】

相続で争いになってしまうと、大切な家族がバラバラになってしまうかもしれません。

「うちは家族仲良いから」「そんなに財産多くないから」

は理由にはなりません。

家族仲の良しあしや財産の多寡は準備をしない理由にはならないのです。

大切な家族がバラバラにならないという保証はどこにもありません。

正しい知識で事前準備をすること、想いを残すことの重要性を感じていただけたら

きしだ行政書士事務所にご相談ください。ご相談は無料です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

お問い合わせはこちらからお願いいたします。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA